イタリアより食とワインと山の魅力を

イタリアのワイン・チーズ、そして食生活情報

ゴルゴンゾーラ

徐々にイタリアチーズを紹介したいと思う。
まず、第一回目は、世界三大ブルーチーズの一つとして知られるゴルゴンゾーラ:

ミラノの国鉄の中央駅から地下鉄に乗ること、約30分。ミラノの北東の人口2万人弱の町、ゴルゴンゾーラ駅に到着。ミラノ近郊のどこにでもありそうな町・・・
ここがゴルゴンゾーラチーズの発祥の地である。今から千年ぐらい前のこと。夏のプレアルプスの山々での放牧を終えて、平地に戻る牛飼いたちが牛の群れを連れて立ち寄る村であった。牛飼いも牛も疲れ切っていた。そこで作られるチーズは、ゴルゴンゾーラ村の疲れ切ったチーズ、ストゥラッキーノ・ディ・ゴルゴンゾーラと呼ばれていた。
ゴルゴンゾーラがブルーチーズ(青カビのチーズ)となったきっかけには伝説がある:
その日、チーズ作りの青年は、固まりかけたミルク(カード)を置きっぱなしにして、恋人のところへ行ってしまった。翌朝慌てて、新たに作った暖かい出来立てのカードを前夜のカードの上にのせ、チーズを作った。何ヶ月かして出来上がったチーズにはカビが生えていた。重ねた2つのカードに温度差があったので、カビが生えてしまったのだ。
もう、昔のように2種類のカードを層にしてゴルゴンゾーラを作っている生産者はいない。青カビも自然に育つのを待つわけではない。前日の夜と翌朝搾乳した牛のミルクを低温殺菌し、35度前後に温度が下がるのを待ち、乳酸菌と青カビ(要はペニシリン菌)、そして子牛から取ったレンニン(凝乳酵素)を加える。ミルクが固まり始める。豆腐作りで苦りを入れたときのようだ。この固まったものをカード(凝乳)と呼ぶ。

カード

このカードをクルミほどの大きさにカットして、中に含まれる水分を押し出した後、布に入れ、型入れする。

型入れ後

3回ほど、上下をひっくり返した後、包んでいた布を取り除き、その後は冷蔵室に15時間ほど寝かし、酸化を停止させる。20度前後の部屋で数日休ませた後に、塩をじかに表面にこすりつける。この後は、低温高湿度の部屋で熟成。青カビの増殖を促すために、空気が内部まで入りこむように針で穴をあける。未だに、手作業で針を使って穴を開ける生産者もわずかにいるらしいが、通常は剣山のような機械を使う。ゴルゴンゾーラの断面を注意して見ると、この針を刺した後が、まっすぐの線状になって残っているのがわかる。型をはずし、木のあて木を添える。

熟成

熟成期間は、塩水で何度も表面を洗ってやらなければいけない。まさに手塩にかけて作りあげたゴルゴンゾーラ。一個の重量は10キロ前後。通常は高さを半分にカットして、銀紙に包まれて売られていることが多い。
残念ながら、ミラノのニュータウンとして姿を変えてしまったゴルゴンゾーラの町ではもうこのチーズは作られていない。DOP(保護指定原産地呼称)に認定されているこのチーズは、現在ロンバルディア州とピエモンテ州で作ることが認められているが、この協会の本部はピエモンテ州にあり、ピエモンテ州のチーズというイメージが強くなってしまった。ゴルゴンゾーラを生産するチーズ工場の数は約30社。日本には毎年300トンほど輸出されている。
ゴルゴンゾーラには2つのタイプが存在する。ドルチェと呼ばれるマイルドでクリーミーなタイプと、ピッカンテ、あるいはナトゥラーレと呼ばれる青カビ特有の辛みが特徴的なタイプ。現代人の味覚に合うドルチェのほうが一般的になってしまったけれど、ピッカンテのほうが元祖である。通は今でもこのピッカンテタイプを好む。でも、その生産量は限られている。製造段階で加えるペニシリンの種類や、熟成期間の違いからこの二つのタイプが生まれる。
ドルチェタイプは、パスタやニョッキのソースにしても美味しいし、生のセロリや洋ナシ、青リンゴに添えてもいい。前日の残って固くなったポレンタを厚めにスライスして焼いて、熱々のところにゴルゴンゾーラを添え、余熱でちょっと溶けたのを食べるのは格別。香りの華やかな白ワインだけでなく、ビールと食べても相性がいい。
ピッカンテタイプは、食事の最後に甘いこってりしたワインに合わせると楽しい。
この独特の香りや味が苦手なイタリア人も少なくはないけれど、イタリアでゴルゴンゾーラがどれだけ親しまれているかは、人々がゴルゴンゾーラとは言わず、ただ“ゾーラ”と呼ぶことからも理解できる。


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  1. 2010/02/19(金) 06:36:46|
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バローロ、バルバレスコの試飲会

ミラノで開催されたバローロ、バルバレスコの試飲会。30社が参加。
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同時に開催されたジャーナリストのための試飲会に参加。そこで、この2月に、バローロ・バルバレスコの国の規定書に初めて修正が加えられた、との発表があった。
古くからワインの勉強をしている人は、ネッビオーロのクローンである、ミケ、ランピア、ロゼという名前を覚えてるかと思う。それらすべての名前が規定書から消えたのである。ブドウの品種については、ネッビオーロとだけ明記されることになった。
ブルネッロワインのスキャンダルで、神経質になっている生産者たち・・・それは、規定以外のブドウが使われていた、というものであった。
故意ではなく、場合によっては、木の樽やステンレスのタンクを使用するときに、その前に入れてあった別のワインがわずかながらも混ざってしまう危険性がある。というわけで、1%(!!!)までは、別のブドウが混ざっていてもOKという決まりが加えられたそうである。
バローロ・バルバレスコ協会の会長クラウディオ・ロッソ氏の説明のもとに試飲した2つのバルバレスコ2007。2007年は、秋に入ってからも気温が高く、アルコール度数の高いワインに仕上がった。ポリフェノールも多く含んだブドウだったので、ブドウの種から得た力強いタンニンが特徴である。各生産者は、ブドウの発酵、その後の熟成の温度管理に気を使ったようだ。
2つのバルバレスコは、同じビンテージなのに、色の深さにずいぶん差がある。樽の使い方から来たものか、と思ったのだが、そうではなく、ネッビオーロのクローンの差だそうである。作り手が、ワインの色の濃さのために、ふさわしいクローンを選び育てているとは、今日まで知らなかった・・・
その後、バローロ2006を試飲。2006年は暑い年で、2004年に似ていた。ブドウの木が暑い夏を乗り越えるために必要な冬の雪が少なかった年でもある。
バローロの生産地区は11の市町村。中でも有名な4つの村のバローロの特徴をお伝えしよう。
バローロ村:エレガント、モッラ:まろやか、セッラルンガ:タンニンが特徴、熟成向き、モンフォルテ:力強い
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30社のバルバレスコ、バローロをいろいろ飲み比べてみた。
まず最初に言えることは、あのブームだったバリックの時代は過ぎた、ということである。もちろん、バリック(小樽)を使用している作り手は大勢いるが、以前のように、樽香がガンガン効いているようなワインは影をひそめた、というのが私の第一印象である。
ああ、これはエレガントだな~、今飲んでも決して悪くはないな~という良い印象を受けるような、樽の使い方になってきている、と。
一方、若手でも昔堅気の作り方を守り続けている生産者もいる。
伝統的なタンニンのしっかりしたタイプの作り手は、Ada NadaやManuel Marinacci。
MoccagattaのBarbaresco Baric Balin 2007は、フルーツやスパイスの香りが華やかで、タンニンがしっかりしており、あと10年ぐらいしてから飲んでも良さそう。
逆にNegro Angelo e FigliのBarbaresco 2007は今飲んでも悪くない。
評判の高いMassolino やGermano Ettore。今回も私を満足させてくれた。
歴史のあるワイナリーPrunotto。大手のAntinoriの資本になり、すでに20年近く・・・
今回の試飲会で唯一古いビンテージのバローロを持参した貴重なワイナリーである。Barolo Bussia 2001は塩味がしっかりしているのが特徴、2001年は当たり!Barbaresco Bric Turot 1999も素晴らしい。どちらも寝かしておけば、まだまだ良くなりそうなワインである。
後3カ月ほどしたら商品化されるRoberto VoerzioのBarolo Rocche dell'Annunziata Torriglione 2006。エレガントでスパイス香も備え、喉にコクが残る感じがした。同じくBarolo Cerequio 2006。旨味に富んでいて、ミネラルがしっかりしていて、海藻の香りがある。有名どころはやはり一味違う、と実感。このワイナリーは2013年に10年物の、要は2003年のビンテージのバローロを販売する。値段は???
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掘り出し物は、Bric Cenciurio。今回初めて出合った作り手。Barolo Coste di Rosa 2006は納得のいくものだったし、アルネイズの遅摘みのブドウで作った甘いワイン、Sito dei Fossiliは特筆すべき一本であった。
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その他に、会場で評判が良かったワイナリーは、VajraとLuigi Baudana。前述のBric Cenciurioとこの二つのワイナリーのエノロゴは、同一人物。ジャンフランコ・コルデーロ氏。イタリア中でエノロゴとして活躍している彼。この3社のワイン、どれも印象的であった。益々の活躍を期待したい。

それにしても、試飲会の度に思うのだけど、後少なくとも数年経った方が美味しいはずのワインを開けてしまうのは、何ともったいないことかと・・・
“10年物バローロ+バルバレスコ試飲会” ・・・誰か企画してくれないかな~~!

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  1. 2010/02/18(木) 00:44:41|
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ワインガイドブック VINIPLUS

VINIPLUSはイタリアソムリエ協会ロンバルディア支部が毎年出している、ロンバルディア州だけのワインのための、貴重なガイドブック。
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オフィシャルテースター初め選び抜かれたメンバーが、205社の704種類のワインをブラインドテースティングして作り上げた一冊である。このテースティングのメンバーとなって今回で3回目。
11月に出版されたこのガイドブックに載ったワインの中から、最終審査で選ばれたより抜きのワインの生産者の表彰彰式を兼ねた試飲会が、先日開催された。
会場はミラノの北、ヴァレーゼという町の歴史ある18世紀の館。
私は、ソムリエとしてサービスを担当。なかなか勇気が出ず、躊躇していたサービスの仕事も今日で3度目。
少しは余裕も出てきた。
今日の私の担当ワイナリーは、ヴァルテッリーナのAldo Rainoldi。http://www.rainoldi.com/
地元ではキアヴェンナスカと呼ばれるバローロやバルバレスコでおなじみのネッビオーロ種で作ったワイン。
VINIPLUSで一番高い評価に当たる4つのバラをもらったワインは47種。なんと、このワイナリーは今回3つのワインで4つのバラを得た素晴らしい作り手。その3本とは:
Valtellina Sassella Riserva 2005
Valtellina Inferno Riserva 2005
Sforzato Fruttaio Ca` Rizzieri 2006
このSforzatoはガンベロ・ロッソでもトレ・ビッキエーリを獲得している。
試飲会が始まり、まもなくして、3代目の若きオーナー、アルド氏が到着。
矢継ぎ早に質問する私に丁寧に答えてくれる。
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Sassellaは大樽主体。タンニンがしっかりしている。Infernoはバリックで作ったエレガントな飲み口。Sforzatoはブドウを収穫後、12月半ばまで標高500メートルのところにある風通しの良い建物の中で乾燥させてから作ったもので、フルーツ、スパイス、ドライフラワーの香り。口に含むと、甘いとさえ思ってしまいそうな、まろやかさ、ミネラル、塩分、タンニンが素晴らしいバランスを保つ。抜栓後、2時間も経つと、湿った香りも顔を出し、それは素晴らしい。
こんなにすごいワインだと、サービスするときにも、思わず顔がほころび、自分が作ったわけでもないのに、誇らしく思ってしまう私・・・

今回最優秀ワインとして表彰された3つのワインは以下のとおりである。

1位:Uberti社 Franciacorta Extra Brut Comarì del Salem 2004
2位:Le Fracce社 Oltrepò Pavese Pinot Nero 2005
3位:Costaripa社 Garda Classico Chiaretto Molmenti 2007

ちなみに3位になったCostaripa社のオーナー兼エノロゴは、Bellavsitaのエノロゴとして知られるマティーア・ヴェッォーラ氏である。

サービスの仕事に専念しなければいけなかったため、会場の写真が撮れずじまい。興味のある方、ぜひイタリアソムリエ協会のニュースレターでビデオをご覧になってください。
http://www.aislombardia.it/articolo.php?id=840

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  1. 2010/02/12(金) 22:12:25|
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アマローネ DOCG

ヴェローナで作られる赤ワイン、アマローネ。
正式名称は、アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ。
ブルネッロやバローロとも肩を並べることができる、フルボディーでどっしりしたワインの代表として知られるが、ついにDOC(原産地統制呼称)からDOCG(原産地統制保証呼称)に格上げが決まった。生産者たちがこの日を夢見ること、15年以上。長い道のりだった・・・2010年のビンテージからDOCGになる。

生産者たちにとって、DOCがDOCGになるということは、大変意義のあることである。それが証拠に、ヴェローナで行われた試飲会“アマローネ・ビンテージ2006”で手にしたプレスキットの資料に“4つのG”という説明があった:Grande(この偉業を成し遂げた偉大な)のG、Gravoso(長い道のりを耐えてきた)のG、ついにDOCのあとにくっつけることができるようになったG(ギャランティー)、Grazie(協力を惜しまなかった関係者への感謝)のG。

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アマローネとして商品化するには、収穫した年の11月から計算して少なくとも2年熟成しなければいけない。
アマローネには、Classico、Valpantena、Riservaというタイプも存在する。
Classicoは、一番古くからこのアマローネを生産していた5つの地域:ネグラール、マラーノ、フマーネ、サンタンブロージョ、サン・ピエトロ・イン・カリアーノ村のブドウで作ったもの、Valpantenaは前述のClassico地域の東にあたるパンテーナ渓谷のブドウから作ったもの、Riservaとある場合は、最低でも4年の熟成を経たもの。

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ブドウ品種や、製造方法が複雑なアマローネ。DOCGとして認定されて、公布された国の規定書に目を通してみた。
ブドウの品種はCorvina(コルヴィーナ)が最低45%から95%。Corvinone(コルヴィノーネ)を代わりに50%まで使ってもいい。Rondinella(ロンディネッラ)は5%から30%。その他に最高で25%まで、他の黒ブドウを使うことが認められている。以前は必ずと言ってよいほど使っていたMolinara(モリナーラ)は “他の黒ブドウ”の中の一種類になってしまった・・・Molinaraは色素が少ないので魅力に欠けるらしい。反面、CorvinaやCorvinoneは色素が多ぃ上、糖分も高く、タンニンの多い、しっかりしたワインになる可能性を含んだブドウである。
でもなんと言っても、アマローネの特徴は、収穫したブドウを乾燥させることから生まれる。
収穫したブドウを3か月ほど乾燥させることにより、水分が減り糖分が高くなる。その後、圧搾するわけだが、圧搾できるのは12月1日以降と義務付けられている。糖分が高いブドウから作ったワインだから、アルコール度数も当然高くなる。アルコール度数は最低14%なければいけない。
濃縮した赤、重々しい味わいの中にも、まろやかさなタンニンがあり、早飲みにも向いているのは、ブドウを乾燥させたからでこそのメリットである。

私が訪れた試飲会はビンテージ2006、ということは、ブドウの収穫年が2006年であることを意味する。協会に加盟している66社が参加。すでに商品化されているものもあったが、大半はまだ樽で熟成、あるいはボトルで精製している、いわゆる早出しのアマローネであったにもかかわらず、今飲んでも悪くない・・・という印象を与えるほどの飲み心地の良さを持ち合わせていた。
生産者の一人が私にDOCGの格上げに長い年月を要した秘密を教えてくれた・・・
Classicoと呼ばれる地域で古くからアマローネを作っている生産者たちは、アマローネの生産可能地域が拡大されたことに否定的であった。だから自分たちのアマローネはDOCGに格上げしたいけど、一緒にあの新米たちのアマローネもDOCGになってしまうなんて・・・と。
今アマローネを作っている新しい世代の生産者たちの中には、もうこのような古い考えを持つ人は少なくなり、ついに内部の意見が統一して、DOCGになれた、と。
100%これが真相かどうかわからないが、今回試飲したうちのいくつかの生産者は、“うちはClassico地域のアマローネ”と言いながら、誇らしげにワインをサービスしてくれた。
必ずしも、とは言い切れないが、一般的には新しい地域(ソアーヴェ村寄り)のIllasi、Tregnago、Mezzane di sotto村のアマローネの方が、色が濃く、ミネラルがしっかりして早飲みタイプが多い気がした。
大半がアルコール度数が16%前後あるにもかかわらず、それを感じさせないのは、そのまろやかさ、優しいタンニン、ミネラル、スパイシー等々、いろいろな成分がうまくバランスを取りあってるからだろう。

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この魅力あふれるアマローネに一番合う料理:フィレンツエ風の赤身のステーキ、ジビエ、熟成したチーズ・・・冬、今日みたいに寒い日、暖房の横で一番お気に入りの本を片手にじっくり飲むのも悪くない。



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  1. 2010/02/05(金) 04:23:52|
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